夢日記

車内は奇妙な明るさに包まれていた。星が山々の上に、ふたつ。太陽と月。昇る星と、沈みゆく星。朝なのか夜なのか、はっきりしない春の空。
車内は老人であふれている。しかしそれを必然的結果だと私が思うのは、ここが地方のしがないローカル線で、次の停車駅が温泉病院であるからだ。加えて、常々、老人とは朝が早い人種である―今がそうならば、の話だけど。



私はドアにもたれて立っている。
つと、ガラス戸の向こうに目をやる。
月は、クレーターが気持ち悪いほどはっきりと見える。
車体が少し揺れて、慌てて手摺を掴む。
太陽は、目を凝らすと、まわりに炎の“ひだ”のようなものがちらちら見えた。


これから暮れるのか、明けるのか。
私にはよくわからない。