与論島に滞在したときの雑記やらメモやら

波の音はしないけど虫の音が心地いい。

夜道すがら。歩くと、遠くの高い建物がピカッと光り、暫くするとまた光る。なんだろうと観察したら灯台で、ああ、海の近くにいるんだなぁ、なんて当たり前のことを考える。そんな夜が更ける。

わたしたちの泊まっているところは、ギリシアをテーマにしているけれど、番地で区切り、遊歩道沿いに青青とした芝生がある施設内は、まるでアメリカの大学町のよう。思わず午後9時にいっせいに動き出すスプリンクラーや、子うさぎの面影を探してしまう。戻らないあの頃をさがして

  • ホネ海岸

その海岸を、わたしたちは勝手に「ホネ海岸」と名付けた。その、カランカラン、シャラシャラ、サラサラした音色は、死者をおくる白い音色にも聴こえる。

ホネ海岸は町役場すぐ近くの堤防のそば。バイト帰りにらしい風貌の地元の子がしゃかしゃか歩く砂浜がある。
寄せた波がかえすとき、風鈴にも似た涼やかな音が― 流れ着いたあまたの珊瑚が重なり合って擦れる音。ここのは形が棒状だから、よけいそう聴こえたんだろう。


白い珊瑚は死滅した珊瑚礁だと聞いた。原因は温暖化とオニヒトデが食い荒らすからだと。言われるまで気付けなかった自分の無知が恥ずかしい。



  • 手のひら

偶然と幸運が重なって、この地方独特の“おもてなし*1”に参加することができました。同席した、漁師だというおばあちゃんの、つないだ手のひらが大きくてやさしくてあたたかくて褐色で、それがぬくいからぎゅっとにぎり返しました。


わたしにも、漁夫の血が流れてるんだよって話、すればよかった。

*1:「与論献奉」と言うらしい。