第17話 コルシカに還る

私物化した(ていうかもはや形見だと思ってると思う)懐中時計を手に故郷へ


ソルダへの復讐の誓いをあらたにしたミレイユは、「あの日」以来、はじめて故郷へ帰る。望郷の念にかられたのは、原点に還りて過去の封印を解き明かすためか。

胸の奥底に封じ込めていた(多分にトラウマになっているだろうが、それをバネに成人した彼女は気丈な女性だと思う)、凄惨な現場を目の当たりにした幼少の記憶を胸に、いちど閉ざした扉を敢えて開く勇気には尊敬する。



収穫は、あった。

ソルダの刺客 ー 過去の扉を開かんとする者を消す男 ー を、あの因縁の場所で殺めた彼女に追い打ちをかけるように、クロエから思わぬ情報が入ったのだ。

自分が敵の分子であると。

これでもう二度と後戻りはできないと、千々に乱れる思いを胸に音もなく泣き崩れるミレイユ。肩に手をおこうかどうしようか。隣で考えあぐねる霧香との距離感が素晴らしい。