影 影 陰

猫物語」を観ました。さすが!の面白さです。

羽川さんの、晩夏に起こったごく個人的な思い出話。夏の太陽が最後の力を振り絞って出した真昼の光の先。日陰と日向の濃い部分の残像みたいなお話。

印象に残った場面。ふたりが校庭で虎のことを相談してるシーンの影の付け方。羽川さんだけ日が当たってない。逆にガハラさんは光を浴びまくっていて、影すらついていない。両者の、アララギ君への思いは同じだけど、その立場を否応にも感じさせる。見ているこっちが羽川さんの心中を考えて、じりじりひりひりするね。恋心が痛い。


ガハラさんてトリッキーで怖いな、と思ってたけど、あんなに心底真面目に羽川さんを心配する姿で(斎藤千和さんの演技もあいまって)、ガハラさんて本当は本当に優しい子なのだな、とじんわり。心にしみた。アララギ君はそんな彼女さんのことをきちんと理解しているなんてと、彼の人を見る目に感心もしてしまった。何より、この台詞の往来がやけに激しい作品の、「台詞だけじゃない」人間関係が、画面の外側のわたしたちにも垣間見れて嬉しい。これこそ、「視聴者冥利につきる」ってもんだ。