その三十/その四十

  • その三十 なみだの仇討ち


突如襲ってきた商人に驚くご一行。訳を訊けば親父の一周忌、仇討ちのため三日月形の傷跡を持つネギ坊主を探しているという……。ハッとするあさたろう。そいつは、おいらのおとっつぁんかもしれねぇ…
 


とっさにこももの手を退かすあさたろうの表情がやさしいです。父の長吉(漢字合ってる?)の渋さも半端なく、死にゆく商人へのはなむけに、さいごまで盗人になりきる心の広さは、息子のあさたろうが、まだしょせん青二才であることをまざまざと見せつけられます。

お墓に手を合わせるあさたろうの瞳に涙がきらり。気付かぬフリし、そっと袂で涙をぬぐうこももにグッときました。にくい演出だ…。



自分の備忘録の為にメモっておくと、このエピソードの舞台は浜名湖浜名湖はかつて舟渡しであり、「今切の渡し」と言われた海上4里(およそ15.7.km)の渡しだそうな。





  • その四十 人生いろいろ雨の宿

物語は宮の宿で、現在では名古屋市熱田区*1にあたる場所。
嵐で先に進めぬあさたろうたちは、相部屋やむなし、しばらく旅の疲れを癒すことに。そんな彼らを待っていたのは、離婚寸前の夫婦、マイペースな老人、そして、派手な着物の若い女性だった。『にわか同居』では、しょせん他人同士。小勢合いから発展した大ゲンカ。そして明かされる各人の伊勢参りの目的と、その事情―



日本史の知識が乏しいのでアレなんですが、たしかお伊勢参りは庶民にとって人生の一大イベントだったはず。だとすれば皆さん、差はあれどけっこうな覚悟や事情で旅してるんでしょうねぇ。特にあでやかな女性は、その身なりから芸子さんかしら、と勝手に考えていたのですが、実はただの使用人。身なりに使った借金を返すため、京に出稼ぎ道すがら。驚きました。
一方、成田離婚ならぬ伊勢離婚寸前の旦那は、離縁前にせめてもと、大事な商売道具を帯飾りと交換して妻へプレゼント。対する妻は、帯を繕い旦那の道具入れをこさえてましたとさ……って、どこの『賢者の贈り物』ですか・・・


このころの日本(江戸時代末期とのこと)の旅ってどんなかんじなんだろうな。おようちゃんのように、女の子でも男装していたり、刀を隠し持っていなくてはいけなかったりと大変そうだけど、それでも人は今よりずっとあったかそうです。ともあれ、日本史と浪曲が好きになりそうな同シリーズ。本気でも面白いので、コンスタントに感想書くことにしました。



http://newblog.ehonnavi.net/2008/10/post_130.html