「The Super Speedy Cider Squeezy 6000」に見るアメリカのほら話とメディスン・ショー

「The Super Speedy Cider Squeezy 6000」面白かったー!

みんなに愛着が湧いきたのでアップルファミリーが農園立退きの危機に晒されてると心が痛むのですが、それにしてもフリムフラム兄弟のミュージカルシーンのノリがすばらしかった!同時に、これは非常にアメリカのトール・テイル(ほら話)らしいエピソードだなーとか色々思ったのでメモ。





トール・テイルの特徴 その1 『とにかく最新技術が正義。発明品や最先端マシンを前にすると、昔ながらの道具や手法は否応なく隅に追いやられる』

観てて真っ先に思い出したのは「ジョン・ヘンリー」のトールテイル。時は19世紀、ジョンはアメリカ大陸の鉄道を西へ広げる優れた「ハンマー使い」だった。しかし、雇主が蒸気で動くハンマーやドリルを購入してしまい雇用の危機にさらされる。困った彼は、仲間と自分のため、蒸気の力に勝負を挑み、見事勝利するがその対戦が仇となり息絶えてしまう…。


今回のお話、単にフリフラ兄弟の底が浅く、トワイの適材適所能力が隅々まで活かされたから農園は救われたようなもの。もしS1のようにAJが意地を張って、家族だけで対抗していたら…と想像すると、ヒヤヒヤします。




"John Henry"といえば、TMBGのアルバムに"John Henry"というアルバムがありましたね。関係ないですが。




トール・テイルの特徴 その2 『大きな賭けに出る割に勝利判定が適当。もっと言うと質より量で競う傾向がある』

機械が文明をリードする結果となるお話としては、斬伐マシンと勝負した巨人ポール・バニアンのお話もありますが、こちらは勝利判定基準に適当さのペーソス漂うトールテイル。だって「制限時間内にどちらがより伐採した木をより高く積み上げられるか」ですよ。そんなの、どう考えても大きい木を切った方が勝つに決まってるじゃないですか!どうして本数で判断しないんだ数えるのがめんどくさいんだろうかと憤ってしまいますが、結果は斬伐マシンの勝ち。勝負に負けたポールは集落を去ります。
長くなってしまったけれど、こちらも質より量で勝負してたフリフラ兄弟vsスイートアップル農園と根本は同じですね。大量生産の国アメリカらしい話の進め方だな、と思いました。




ついでに。

「レジェンド」といえば「ジョニーアップルシード」。 アップルサイダーもちゃんと登場します。
アップルジャック初登場シーンは、このジョニーアップルシードを思い出しました。




加えて、豆知識。マイリトルポニーの時代背景の参考になっているであろう19世紀後半〜20世紀前半のアメリカでは、フリフラ兄弟のような、村から村へと渡り歩く行商人がポピュラーでした。この頃はじめた商売が大成し、今日では大企業となっているケースも珍しくありません。
Jelly Belly のヒストリー - Jelly Belly Japan | ジェリーベリー ジャパン



また、フリフラ兄弟が、胡散臭いけどノリのいい音楽とキャッチーさで町の人々を虜にするようすは、19世紀「奇跡の薬」を売り歩きながら、客寄せのためにさまざまな余興を繰り広げ、後のルーツ・ミュージックの起源となった「メディスン・ショー」を彷彿とさせます。



そういえば「ピートとドラゴン」でも、"Passamaquoddy"というあやしい薬売りのミュージカルナンバーがありましたな。
派手な乗り物も、なんとなくMLPのと似てますね。
"Passamaquoddy" from Disney's PETE'S DRAGON on Vimeo




こういう、100%純アメリカ産のカルチャーが滲み出ているのが、カートゥーンの良いところかなぁ、と思います。