明日のナージャ 第28話『危険なプリンセス』

さて、一座一行はグラナダへ。ここには孤児院で共に暮らした幼なじみのローズマリーがいる。

この時点で留意するのは、ナージャは夢に生きる少女である一方、ローズマリーは現実に生きる少女だということだ*1

ナージャがこの物語の光なら、ローズマリーは影だ。彼女は孤児院を出てから、はるばるグラナダへ奉公に出ていた。酷な現実に折合いを付けるため、暇を見つけては薄暗い屋根裏部屋でボロボロのドレスに着替え、鏡の中のもうひとりの自分に語りかける日々。身寄りはもちろん、友人も知り合いすらいない孤独な貴族の屋敷で、唯一の慰めは想像上の友人だった。

だが、ナージャが煌びやかな衣装をまといパーティーの華として迎えられた瞬間、彼女の中でぎりぎり保たれていた夢と現の均衡が音を立てて崩れ落ちる。そのさま。その刹那。彼女は思い知るのだ。現実は残酷で無慈悲だという事。運命にはあらがえないという事。


ローズマリーには大人のファンが多いというのも頷ける。

*1:この後、ある出来事をきっかけにローズマリーも夢に生きる少女へと変貌する。